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【冬虫夏草のお話】

冬虫夏草は、現在、昆虫などから生ずるキノコを総称しています。
菌類(真菌類)の分類は、「だれもが認める分類体系の設立までには至っていない」(元日本菌類学会会長・椿啓介氏)とされていますが、慣用的な呼称としては、子嚢(しのう)菌類(門また亜門)バッカク菌目バッカク菌科の一属(冬虫夏草属、またはノムシタケ属との呼称もある)に位置づけられています。

養分を昆虫などから得て寄生生活をし、とりついた昆虫などの体内で、菌糸の固まりである菌核をかたちづくり、やがて虫の体を突き破って、キノコ(子実体)を生じます。
キノコは、傘と柄のある担子菌類(門または亜門)のハラタケ目のようなイメージではなく、主に棒状で、その頭部や先端近くに子嚢胞子を抱えた袋状の器官である子嚢果の集り、結実部があります。結実部を含めた子実体の形態には、「こん棒型」「タンポ型」「ミミカキ型」「ハナヤスリ型」などのいくつかのタイプがあります。

子実体の長さは数ミリから数センチのものが多く、長いものでは90センチという記録もあります。子実体の色彩はオレンジ色や紫、黄、茶など様々です。

【名前の由来】

冬虫夏草というのは、今では昆虫などから出るキノコの総称として使われていますが、本来は、コウモリガの幼虫(イモムシ)から出たひとつの種を指していました。 学名をCordyceps・sinensis(コルディセプス・シネンシス)とつけられています。

この種は、中国の伝統医学・漢方のなかで薬用として使われ、清朝時代の医学書、呉儀洛の「本草従新」(1757年)に始めて記載されています。最近の研究では、これより早く、チベットの薬物書の「甘露宝庫」(1400年ころ)に記載があり、チベットで薬物として使われていたものが、中国中央に伝わったと考えられています。

イモムシとキノコが合体したかたちは、冬は虫で夏は草と、転生する生き物を想像させるのに十分です。名称もここからきたと考えられており、また、漢方と深くかかわっている陰陽五行説の考え方も映した命名として興味のつきないところです。

漢方で使われる冬虫夏草は、現在の四川、雲南、青海、甘粛、チベットからネパールの三千から四千メートルの高山帯に分布するものです。中国ではシネンシスやセミなどから生ずるものなどを含め総称して「虫草」と呼んでいて、シネンシス以外の種も、生薬として使われているものもあります。

  【知られている効能】

冬虫夏草は幼虫の部分の表面が明るい黄色を帯び、内部が純白色で充実しているものが良品とされ、天然のものではチベット高原の海抜5000メートルの氷雪地帯でとれたものがもっとも薬効性が高いと言われています。

日本では、シュツットガルトの世界陸上大会での中国女子中距離選手(いわゆる「馬軍団」)の大活躍がきっかけに話題となり、冬虫夏草の驚くべき効果が広く一般に知られるようになりました。

1)免疫力を高める

冬虫夏草に含まれるジオクシテアデノシンには血小板の成長を増強する作用があります。また、セレンには白血球の抵抗力を増加する作用があり、ポリサッカロイドには免疫機能を高める作用があります。

2)血液の流れを活発にする

冬虫夏草に含まれるアスパラギン酸は血管を強化し、マントールは心臓や脳の血管を広げ、血液の流れを活発化させる作用があります。馬軍団やマラソン選手の活躍も赤血球を増加させる作用によるとされます。

3)成人病の予防

人体に有害な過酸化イオンを除去する働きのあるSOD(活性酸素還元酵素)は40歳を過ぎると急激に減少します。冬虫夏草にはSODが含まれ、細胞を正常にすることから、成人病の予防に役立ちます。

4)老化を防ぐ

冬虫夏草の中でも、活蚕ハナサナギタケ冬虫夏草にはメラトニンが含まれていることが報告されています。メラトニンは脳内ホルモンといわれ、脳の機能、免疫、酵素、ホルモンなどに関与して老化を防止します。

5)疲労の回復

人間は活性酸素の発生により疲労します。冬虫夏草には体内で酸素や二酸化炭素の運搬をするヘモグロビンの濃度を高める機能や激しい運動、喫煙、飲酒などにより発生する活性酸素の産出を抑制し、疲労回復を早める効果があります。

6)その他

含有成分のカリウムは血圧を下げる作用があります。また、機能が衰えた肺の働きを治療し、神経を安定させるため、睡眠にも良い影響を与えます。男性のみならず女性にも、いわゆる「精力増強」効果があることは古くから知られています。

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